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山本は常々、疑問を感じていた。

 

暇人時代。

彼は、何がしのイベントに行けば、

遅刻でもしない限り、必ず、最初から最後までそこにいた。

隅から隅まで耳を通し、何かを得ようとしていた。

 

それは決してポジティヴな理由からではなく、

暇人特有の貧乏性とも言うべきものであった。

 

彼は、アルバイトの仕事が決まるや否や、

目当てのものだけを視聴しに行くようになった。

 

それは、彼自身の中で、実に単純明快なことであった。

 

長い長い興行時間。

何のひねりなく、順々に出演者たちがそれぞれ独立したステージを演じるだけ。

「対」バンとはよく言ったもので

そこには一つのイベントとしての一連性はなく、

転換中はだらだらと時間が過ぎ、無意味なBGMが流れるだけである。

 

 

山本は常に思っていた。

 

「どげんかせんと、いかん。」と・・・

 

 

 

山本は、オープニングアクトというシステムにも疑問を呈する。

ヘッドライナーのスタート時間が、

それぞれのSNSに公開されてしまっているこのご時勢、

もはや、その体を成していないと言えるのが、

この現状、ライブハウス等のイベントにおける、オープニングアクトである。

 

はじめが肝心とはよく言ったものだ。

山本は、自身の主催するイベントでは必ず、

自身の何かではじめるというのが持論であり、

それがホストパーソナリティの役割であるのだと自負している。

 

常識を知る。そして、破る。」

 

山本 悠

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